AI導入・アプリ開発の費用と期間はどう決まるか|フィリピンでの実案件から規模別に解説

フィリピンでのAI導入は、同じ依頼内容でも費用が10倍ひらくことがあります。費用と期間を決める4つの要素と、実際に支援した案件の規模別の目安、依頼前に決めておくと安くなる3点を解説します。

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運営者・AIエンジニア / IT歴36年以上・マニラ在住13年以上

AI導入・アプリ開発の費用と期間はどう決まるか|フィリピンでの実案件から規模別に解説

「AIを入れたいのですが、いくらくらいかかりますか」という質問を、よくいただきます。正直に答えると、この質問だけでは金額を出せません。同じ「AI導入」でも、実際にかかる費用は10倍以上ひらくことがあるからです。

そこでこの記事では、費用と期間が何で決まるのかを4つの要素に分けて説明し、そのうえで私が実際にフィリピンで支援した案件を規模別に並べます。金額を公開できる案件と、契約上できない案件がありますので、そこは正直に分けて書きます。

費用と期間を左右する4つの要素

見積もりの幅は、だいたい次の4つで決まります。

1つ目は、対象の業務がいくつあるかです。 「Messengerの問い合わせ返信だけ」と「問い合わせ返信とSNS投稿と在庫案内」では、作る量が変わります。ここがいちばん効きます。

2つ目は、既存の仕組みとつなぐかどうかです。 既存のホームページや予約システム、会計ソフトと連携させると、相手側の作りを調べる時間が必要になります。単独で完結する仕組みより、工数が増えます。

3つ目は、誰が使うかです。 経営者ひとりが使うのか、現地スタッフ全員が使うのかで、必要な作業が変わります。全員が使う場合は、使い方の説明と研修の期間を見ておく必要があります。

4つ目は、作って終わりか、続けて見るかです。 一度作って納品する形と、毎月データを見ながら直していく形では、費用の性格そのものが違います。前者は一括、後者は継続です。

この4つを先に決めていただけると、見積もりはかなり早く出せます。逆にここが決まっていないと、こちらも幅の広い金額しか提示できません。

関連: AI導入でよくある失敗と回避方法|フィリピンの日系企業がつまずく5つのパターン で詳しく解説しています。

規模別の目安

私が実際に支援した案件を、小さいほうから並べます。

小規模:定型の問い合わせ返信とSNS投稿の自動化

マカティのリトルトーキョー近くにある、フィリピン人が経営する小さな携帯ショップのAI導入を支援しました。知り合いの日本人からの紹介でした。

この店にはロード(プリペイド)販売、修理、中古端末、アクセサリ販売と収益源が複数あり、英語が話せない日本人のお客様への対応もときどき必要でした。そこで、Messengerに来る「この機種いくら?」「在庫ある?」といった定型の問い合わせに自動・半自動で返信できるようにし、タガログ語・英語・日本語を切り替えて対応できるようにしています。予算と用途を聞いて機種を提案するレコメンドも入れました。さらにFacebookの投稿、つまり新着・値下げ・修理の告知の文章とサムネイル画像もAIで量産できるようにしました。

費用は約3万ペソ、期間は約2〜4週間です。

問い合わせ対応がぐっと楽になり、SNSの発信も続けられるようになりました。日本人のお客様にも言葉の心配なく対応できています。小規模な店ほど、定型の問い合わせへの自動返信とSNS投稿の量産はよく効きます。

関連: フィリピンの既存サイトにAIを後付け!作り直さず低コストで問い合わせ対応を自動化する方法 で詳しく解説しています。

中規模:集客の作り直しとチャットボットの組み合わせ

同じくマカティのリトルトーキョー近くにある、約80席の日系飲食店の支援では、範囲がぐっと広がりました。

古くなっていたホームページをWordPressで作り直し、最新のSEO・GEO対策でスモールキーワードを狙い、Facebookを中心としたSNSマーケティングにもAIを活用しています。サイトにはAIチャットボットを入れて単純な問い合わせはAIに任せ、メニューもパソコンで簡単に書き換えられる仕組みにしました。

期間は、相談に約1週間、構築に1〜2か月、スタッフ研修の2週間後から本格運用で、ぜんぶで2〜3か月ほどです。費用は契約上、非公開とさせていただいています。

スモールキーワードの検索は今も1〜5位を維持していて、単純な問い合わせを人が対応することはほぼなくなり、集客と来客も増えました。飲食店のAIは「新しいお客様に見つけてもらう」部分と「日々の手間を減らす」部分の両輪で効きます。

先ほどの携帯ショップと比べると、期間が2〜4週間から2〜3か月に伸びています。作る量が増えたことに加えて、スタッフ研修の期間が入っている点が違いです。使う人が増えると、この時間が必ず必要になります。

関連: Meta「Muse Image」撤回に学ぶ、生成AIと肖像・個人情報リスク|在フィリピン日本企業の実務対応 で詳しく解説しています。

継続:決済の立て直しと分析

マニラ近郊にお住まいの40代の男性、Kさんの日本食飲食店は、2026年の初めから継続で支援しています。

ご相談は、止まってしまったPayPalアカウントの復旧と、サイトへの決済機能の導入、それに売上の分析でした。まずPayPalのサポートとやり取りしてアカウントを整理し、新しいアカウントを作り直して、BDOの銀行口座をあらためて紐づけました。そのうえでサイトに決済ボタンと決済リンクを置き、サイトから直接PayPalで支払いを受け取れるようにしています。さらに、売上とマーケティングを分析するAIツールも入れました。

アカウントの復旧から決済の設置までで2〜3週間ほど、AIによる分析は今も続けています。費用は継続サポートのため非公開です。

フィリピンでは決済まわりのアカウントが急に止まることがあります。サポートと粘り強くやり取りして復旧させ、AIの分析まで一気につなげると、売上を伸ばす土台ができます。

見積もりが大きく振れる理由

同じ「AIチャットボットを入れたい」というご依頼でも、金額が数倍ひらくことがあります。理由は主に3つです。

ひとつは、答える範囲です。「営業時間と場所を答える」だけなら短期間で作れますが、「在庫を見て答える」となると、在庫のデータをどこから取るかという話になります。データの置き場所が整理されていない場合、そこを整えるところから始まります。

もうひとつは、言語の数です。1言語と3言語では、確認の作業量が変わります。用意した答えが、どの言語でも自然に読めるかを確かめる必要があるためです。

3つ目は、既存のシステムの状態です。何年も前に作られたホームページを触る場合、まず現状を調べる時間が必要になります。ここは事前に見えにくい部分で、見積もりの幅が出やすいところです。

依頼前に決めておくと安くなる3つのこと

見積もりを取る前にこの3つを決めていただけると、金額も期間も下がります。

1つ目は、減らしたい作業をひとつに絞ることです。 「全体を効率化したい」ではなく「Messengerの在庫確認の返信」のように、担当者が名前を言える単位まで具体的にしてください。

2つ目は、いま何分かかっているかを2週間ほど記録することです。 正確に測る必要はなく、「1日あたりおよそ何分」で構いません。この数字があると、どこまで作り込む価値があるかを一緒に判断できます。

3つ目は、最初に使う人をひとり決めることです。 いちばん困っている方を選んでください。全員に一斉に配ろうとすると、研修の期間が必要になり、費用も期間も膨らみます。

この3つが決まっていれば、小規模な自動化であれば数万ペソ規模、1か月以内という形で見通しが立てられます。

よくある質問

Q: 最小でいくらから頼めますか?

A: 対象をひとつの作業に絞るのであれば、大きな予算は必要ありません。先ほどの携帯ショップの例は約3万ペソでした。最初から数十万ペソ規模の計画を立てるより、小さく試して効果を確認してから広げるほうが、結果として無駄が出ません。

Q: 見積もりに幅があるのはなぜですか?

A: 既存の仕組みを調べてみないと分からない部分があるためです。とくに数年前に作られたホームページやシステムに手を入れる場合、中身を開けてみて初めて分かることがあります。幅を狭めたい場合は、先に現状を調べる作業だけを短期で切り出す方法もあります。

Q: 作ったあとの費用はかかりますか?

A: 作り方によります。一度作って納品する形であれば、基本的には追加の費用はかかりません。ただし、外部のサービスにつないでいる場合、そのサービス側の仕様変更に合わせて直す作業が発生することがあります。毎月データを見ながら改善していく形をご希望の場合は、継続の契約になります。

Q: 現地スタッフへの研修も含まれますか?

A: 使う方が複数いる場合は、研修の期間を見積もりに入れます。飲食店の例では、構築のあとに研修があり、その2週間後から本格運用に移りました。ここを省くと、作ったものが使われないまま止まります。

まとめ

AI導入の費用と期間は、対象の業務数、既存システムとの連携、使う人の数、継続するかどうかの4つでほぼ決まります。実際の案件では、定型の問い合わせ返信とSNS投稿の自動化で約3万ペソ・2〜4週間、集客の作り直しとチャットボットまで含めると2〜3か月という幅になりました。

金額を下げたい場合は、値切るより先に、対象をひとつに絞ってください。それがいちばん確実に効きます。

PH AI Worksでは、在比日系企業や現地の事業者向けに、この考え方でAI導入を支援しています。まずは「減らしたい作業をひとつ書き出す」ところから、ご相談ください。

この記事を書いた人

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運営者 / AIエンジニア(IT歴36年以上)

  • 東京都出身・マニラ在住13年以上
  • IT歴36年以上(開発・SEO・AI)
  • IBM認定 生成AIエンジニア
  • AIチャットボット・RAG・AIエージェント開発

IT歴36年以上、マニラでの実務経験13年以上の日本人AIエンジニア(運営者)です。AIチャットボットや業務自動化、AIエージェント、生成AIマーケティングなど、フィリピンの日系企業が「成果に直結するAI」を導入できるよう、現場目線で記事を書いています。ご相談は日本語・英語どちらでも対応します。

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