フィリピンSEOがうまくいかない理由|多言語対応とAI活用で検索流入を作る

フィリピンでSEOが伸びないのは、タグリッシュ検索とモバイル環境への対応不足が原因です。AIで多言語コンテンツを作り、人が確認する実務手順をフィリピン日系企業向けに解説します。

執筆者
執筆者執筆者

運営者・AIエンジニア / IT歴36年以上・マニラ在住13年以上

フィリピンSEOがうまくいかない理由|多言語対応とAI活用で検索流入を作る

フィリピンに拠点を持つ日系企業から、「英語のサイトを用意したのに、検索から問い合わせが来ない」という相談をよく受けます。サイトを見せてもらうと、たしかに作りはきれいで、英語の文章も正しいのです。それでも検索流入が伸びない理由は、たいてい1つに絞られます。フィリピンの検索者が実際に使っている言葉と、サイトの言葉がずれているのです。

私はマニラで13年以上、AI導入とWeb制作を支援してきました。2000年代の日本ではSEOとアフィリエイト事業を運営し、検索順位の変化を日々追う仕事をしていました。この記事では、フィリピン向けSEOがうまくいかない理由と、AIを使って現実的に対応する手順を、実務の流れに沿って説明します。

要約

  • フィリピンの検索者は英語とタガログ語(フィリピノ語)を混ぜた「タグリッシュ」で検索することが多く、英語だけのサイトでは検索語とずれが生じます。
  • 検索のほとんどがスマートフォン経由のため、表示速度が遅いサイトは検索でも売上でも不利になります。
  • 機械翻訳だけに頼らず、AIで下書きを作って人が確認する二段構えにすると、多言語対応の作業時間を大きく減らせます。

フィリピン向けサイトを用意したのに、検索から人が来ない

状況実際に起きていること
英語サイトを公開したタグリッシュで検索する人に言葉が届いていない
表示に時間がかかる読み込み中に離脱され、順位にも響く
日本向けの構成をそのまま使ったフィリピンの検索意図と合っていない

英語は多くの人に通じますが、実際の検索窓に入力される言葉は英語だけではありません。「食事 デリバリー マニラ 安い」のように、英語とタガログ語が混ざった言葉で検索する人が珍しくないのです。サイトの文章が正しい英語であっても、検索者が打ち込む言葉と一致しなければ、検索結果に出てくる機会そのものが減ります。

もう1つの壁は表示速度です。フィリピンでは建物や地域によって回線速度の差が大きく、画像の重いページは表示に時間がかかります。訪問者は表示を待たずに前の画面に戻ってしまうことが多く、この離脱が検索順位にもマイナスに働きます。

原因は、日本向けの前提をそのまま持ち込んでいること

前提フィリピンとのずれ
「英語で書けば伝わる」検索語はタグリッシュが中心
「翻訳すれば現地向けになる」商習慣や制度の違いが反映されない
「日本のSEOテンプレートが通用する」検索意図・競合環境が異なる

Ethnologueの調査によると、フィリピンには184の言語があります。公用語であるフィリピノ語(標準タガログ語)と英語のほかに、多くの地域言語が日常的に使われているのです。全国的にはフィリピノ語の運用力を持つ人が多数派で、英語の運用力を持つ人はその半分程度にとどまるとされています。つまり英語は「通じる」言語であっても、検索者が最初に思いつく言葉として選ばれるとは限りません。

調査会社DataReportalの2026年版レポートによると、2025年末時点でフィリピンのインターネット利用者は約9,800万人です。これは人口の83.8%にあたります。インターネット利用者のスマートフォン所有率は98.6%で、フィリピンはモバイルが検索の主な入口になっている市場です。パソコン向けに作られたサイトをそのままスマホで開くと、表示の遅さがそのまま離脱につながります。

汎用の翻訳ツールや日本向けのSEOテンプレートをそのまま持ち込んでも、この2つのずれは埋まりません。現地の検索語と表示環境に合わせて作り直すことが、遠回りに見えて一番早い方法です。

AIを使って多言語対応とSEOを進める全体像

フェーズ主な作業
調査現地の検索語調査、競合の表示速度チェック
制作AIで多言語の下書き作成、人による文化面の確認
運用検索順位の定期チェック、表示速度の改善

進め方は大きく3段階に分かれます。まず現地でどんな言葉が検索されているかを調べましょう。次に、AIで多言語の下書きを作り、それを人が確認して公開します。公開後は、検索順位と表示速度を定期的に見直しましょう。ここで大事なのは、AIに翻訳させ下書きに保存し、人が確認することです。

私はIBM認定の生成AIデジタルマーケティング・プロフェッショナル資格でGEOを学びました。GEO(生成エンジン最適化)とは、ChatGPTなどのAI検索に引用されるための対策のことです。SEOに加えてGEOを意識したコンテンツを発信すると、AIの回答に引用されやすくなります。フィリピンでも、若い世代が検索エンジンだけでなくAIチャットに直接質問する場面が増えています。

手順をより詳しく

手順やること
1. 検索語調査タグリッシュを含めた現地の検索語を洗い出す
2. AIで下書き作成多言語コンテンツの初稿をAIで作る
3. 人による確認文化や商習慣、数字の正確さを人が確認する
4. 決済・表示の調整ペソ表記、現地決済、表示速度を整える

手順1: タグリッシュを含めた検索語を洗い出します。英語だけでなく、現地でよく使われる言い回しを含めて検索語の候補を集めましょう。地域によってはビサヤ語(セブアノ語)が優先される場合もあるため、対象地域を先に決めておくと調査の的が絞れます。

手順2: AIで多言語の下書きを作ります。生成AIを使うと、英語・タガログ語の下書きを短時間で作れます。私の実務では、ChatGPT Plusで下書きを作り、Claude Proで論理構成を確認する二段階の進め方をしています。この順序にしてから、下書き作成にかかる時間が大幅に短縮できました。

手順3: 文化や商習慣、数字を人が確認します。AIの出力をそのまま公開すると、フィリピン特有の制度(たとえば民間の医療保険制度であるHMO)を日本の健康保険と同じもののように書いてしまう事故が起きます。2000年代にSEO・アフィリエイト事業を運営していたころ、「数字を鵜呑みにせず、前月との比較や参照元を確かめる」習慣が身につきました。この習慣は、AI時代の確認作業でもそのまま役立っています。

手順4: 決済と表示速度を整えます。フィリピンではGCashやMayaといったスマホ決済が広く使われており、クレジットカード前提の決済画面では途中離脱が目立ちます。価格はペソ表記を基本にし、画像を軽くして表示速度を改善しましょう。

実際の支援例として、マカティにある日系飲食店のAI導入を支援したことがあります。サイトを作り直し、SEO・GEO対策とAIチャットボット、メニュー更新の仕組みを整えたところ、狙った検索語での上位表示を維持でき、来客につながりました。別の案件では、フィリピン人が経営する携帯ショップのMessenger対応を、タガログ語と英語、日本語の3言語で自動返信できるようにしています。多言語対応は記事の翻訳だけでなく、問い合わせ対応まで含めて考えると効果的です。

フィリピンSEO・多言語対応でよくある失敗例

失敗例どうするか
機械翻訳だけで公開するAIの下書きを人が確認する工程を必ず入れる
日本のテンプレートを流用する現地の検索語・競合を調べ直す
決済・表示速度を後回しにする制作の初期段階から組み込む
検索順位だけを見る表示速度・離脱率もあわせて確認する
一度作って放置する公開後も月次で数字を確認する

失敗例:機械翻訳だけで多言語ページを公開します。文脈や商習慣が反映されず、不自然な表現のまま公開されてしまいます。AIの下書きのあとに、必ず人が確認しましょう。

失敗例:日本で効果のあったSEOテンプレートをそのまま流用します。検索意図も競合環境も違うため、狙った検索語で順位が上がりません。現地の検索語調査からやり直す必要があります。

失敗例:決済手段や表示速度を後回しにします。サイトが完成してから直そうとすると、構成からやり直しになることが多く、余計な時間がかかります。制作の初期段階で組み込んでおきましょう。

失敗例:検索順位の変化だけを見て満足します。順位が上がっても表示速度が遅く離脱率が高いままでは、問い合わせにはつながりません。順位と合わせて表示速度や離脱率も確認します。

失敗例:サイトを公開したあと、数字を見ずに放置します。検索環境は変わり続けるため、月に一度は検索順位と流入経路を確認し、必要なら修正しましょう。

よくある質問

Q: フィリピン向けサイトは英語だけで十分ですか。

A: 英語だけでも最低限の接点は作れます。ただし商品によっては、タガログ語や現地の言い回しを混ぜたほうがクリック率が上がります。特に食品や日用品のような消費者向け商材では、タグリッシュを意識した言葉づかいが効果的です。

Q: 機械翻訳と生成AIの翻訳はどちらを使うべきですか。

A: 用途によって使い分けます。定型的な文書は機械翻訳で十分なことが多く、マーケティング向けの文章や商習慣を含む内容は、生成AIで下書きを作ってから現地の感覚で確認する進め方が向いています。

Q: 日本で効果のあったSEOの考え方はそのまま使えますか。

A: 考え方の骨組みは応用できますが、検索語や競合、検索意図は現地であらためて調べ直す必要があります。日本で上位に出ていた構成をそのまま持ち込んでも、フィリピンの検索者が使う言葉が違うため順位は上がりません。

Q: 多言語対応で見落とされがちな点は何ですか。

A: 価格表示と決済手段です。フィリピンではGCashやMayaといったスマホ決済が広く使われているため、クレジットカード前提の決済画面のままだと途中離脱が増えます。価格もペソ表記を基本にする必要があります。

Q: 社内にSEOやAIに詳しい人がいなくても進められますか。

A: 進められます。検索語調査や下書き作成はAIツールを使えば時間を短縮できます。ただし文化面や事実の確認は人の目が必要なので、その工程だけは省かないようにしてください。

まとめ

フィリピンでSEOが伸び悩む理由の多くは、英語だけを前提にした作りと、モバイル環境への対応不足にあります。やることは4つです。タグリッシュを含めた検索語調査、AIによる多言語の下書き作成、人による文化や数字の確認、そして決済と表示速度の調整です。これを1つの流れとして設計すると、検索流入から問い合わせまでがつながりやすくなります。

まずは、自社サイトの検索語が現地の言葉と合っているかを見直してみてください。どこから手をつければよいか分からない場合は、PH AI Worksの無料相談で状況を整理することもできます。導入を決めていない段階での相談でも構いません。

参考・出典

この記事を書いた人

執筆者
執筆者

運営者 / AIエンジニア(IT歴36年以上)

  • 東京都出身・マニラ在住13年以上
  • IT歴36年以上(開発・SEO・AI)
  • IBM認定 生成AIエンジニア
  • AIチャットボット・RAG・AIエージェント開発

IT歴36年以上、マニラでの実務経験13年以上の日本人AIエンジニア(運営者)です。AIチャットボットや業務自動化、AIエージェント、生成AIマーケティングなど、フィリピンの日系企業が「成果に直結するAI」を導入できるよう、現場目線で記事を書いています。ご相談は日本語・英語どちらでも対応します。

ライバルはAIで進化中!

あなたのビジネスは大丈夫?

関連記事

フィリピン外注の常識が変わる|AI再教育1万人発表と日系企業の対応
ケーススタディ

フィリピン外注の常識が変わる|AI再教育1万人発表と日系企業の対応

フィリピンのBPO業界でAI再教育プログラムが始まりました。外注先の対応力はこれからどう変わるのか、日系企業が今から確認すべき3つのポイントを、政府発表の内容から整理しました。

2026/9/18

AI導入の進め方|責任者、AIに提供する情報、試用の期限を決める6つの段取り
AI戦略・コンサルティング

AI導入の進め方|責任者、AIに提供する情報、試用の期限を決める6つの段取り

AI導入は、責任者を決める、業務を1つ選ぶ、AIに提供してよい情報を決める、少人数で試す、続けるかを判断する、手順を文書にする、の6つを順に進めます。ツールは、情報の範囲を決めたあとに選べば間に合います。フィリピン拠点で本社の許可を取る時期も紹介します。

2026/9/15

AI導入のメリットは4項目で数値化する|フィリピン拠点から本社に説明できる形にする
AI戦略・コンサルティング

AI導入のメリットは4項目で数値化する|フィリピン拠点から本社に説明できる形にする

AI導入のメリットは、作業時間、ミス、待ち時間、属人化の4項目に分けて業務単位で測定しましょう。AIを導入しても、人件費はすぐには減りません。導入前の数値を記録し、1枚の表にまとめるまでの手順を、フィリピンで日系企業を支援している私が解説します。

2026/9/13

AI導入支援とは何か|4つの形と、見積書で確認する5か所
AI戦略・コンサルティング

AI導入支援とは何か|4つの形と、見積書で確認する5か所

AI導入支援は、相談と助言、制作と納品、運用の代行、社内で回せるようにする支援の4つの形に分かれます。会社ごとに中身が違うため、見積書と契約書で確かめる5か所を挙げます。範囲の決め方と解約条件の注意点まで、フィリピンでAI導入を支援している私が説明します。

2026/9/12

企業のAI導入の成否は最初の1業務で決まる|業務選びの3つの条件
AI戦略・コンサルティング

企業のAI導入の成否は最初の1業務で決まる|業務選びの3つの条件

企業のAI導入がうまくいくかは、最初にどの業務を選ぶかで決まります。毎日か毎週繰り返している、答えが決まっている、間違いに人が気づいて直せる、という3つの条件で選びましょう。マカティの携帯ショップとマニラの美容院を支援した実例、私の失敗と解決法まで説明します。

2026/9/10

AI導入コンサルの選び方|安さで失敗した私が見る3つの確認点
AI戦略・コンサルティング

AI導入コンサルの選び方|安さで失敗した私が見る3つの確認点

AI導入コンサルは、提案書と料金だけでは選べません。月5万円の安さで発注し、使えないものを納品された私の失敗をもとに、頼む前に決めることと、固定価格と月額の選び方を説明します。確認するのはサンプル、連絡の質、納品後の話の3つです。コンサルに頼まなくていいケースも紹介します。

2026/9/7