フィリピンでのIT開発の進め方|在比日系企業が失敗しない選び方
フィリピンで事業を営む日系企業向けに、現地でIT開発を進める方法を解説します。開発会社、フリーランス、自社採用の選び方と、発注時の注意点をPH AI Worksがまとめました。

要約
- フィリピンで事業を展開している日系企業向けに、現地でIT開発を進める方法をまとめました
- 選択肢は「現地の開発会社への依頼」「フリーランスへの直接発注」「自社での人材採用」の3つです
- 決定事項を書面に残し、委託する範囲を最初に決めておくことが、失敗を防ぐうえで重要です
フィリピンで店舗や事業を運営している日系企業の経営者から、「ITがわかる人が社内にいない」「現地の開発会社に頼んでいいのか判断できない」という相談をよく受けます。
日本で進める場合とは事情が異なるため、相談先が分からず、システム化を後回しにしている会社も少なくありません。この記事では、実際にフィリピンで開発を発注・管理してきた立場から、現地でIT開発を進める方法を具体的にお伝えします。
依頼先が分からず、システム化が進んでいない
「ホームページも予約管理も手作業のまま」「現地の開発会社に相談したいが、言葉の壁が不安です」。フィリピンで日系企業を経営している方から、こうした声をよく聞きます。
| 課題 | よくある状況 |
|---|---|
| 相談先が分からない | 現地の開発会社の探し方と比較方法が分からない |
| 言葉の壁が不安 | 日本語でのやり取りができる相手が見つからない |
| 相場感がない | 見積もりが適正価格か、判断する材料がない |
結果として、IT化は後回しにされます。システム化すれば効率化できる業務があると認識していても、着手できないまま時間だけが過ぎていく会社が少なくありません。
関連: フィリピンのオフショア開発で失敗しない発注ガイド|契約・著作権・個人データ・祝日の注意点 で詳しく解説しています。
原因は、現地でのIT開発の進め方の情報が少ないこと
フィリピンの開発事情を扱った日本語の情報はまだ少なく、経営者が手探りで判断している状況です。加えて、フィリピン特有の商習慣の違いも、不安を高める一因になっています。
| 不安に思われがちな点 | 実際の状況 |
|---|---|
| 価格が不透明では | 開発会社によって幅があるため、複数の見積もりを比較する必要がある |
| 品質に不安がある | 大手企業のシステム開発拠点も多く、技術力自体は高い |
| 契約の進め方が違うのでは | 口頭でのやり取りが合意事項として扱われることがあるなど、日本とは異なる感覚がある |
私自身、フィリピンでビジネスを始めた頃、口頭で交わした約束が契約に影響した経験があります。日本の感覚で「言った・言わない」を軽く扱っていると、後々の行き違いにつながります。ここを押さえずに発注すると、後で紹介する失敗例のような事態になるのです。
現地での開発体制は、大きく3つから選ぶ
フィリピンで事業をしている日系企業がIT化を進める方法は、主に3つに分かれます。いずれが適しているかは、開発の規模と、自社で管理する範囲によって決まります。
| 体制 | 向いている規模 | 特徴 |
|---|---|---|
| 現地の開発会社への依頼 | 小〜中規模、単発の開発 | 会社としての実績を確認しやすく、始めやすい |
| フリーランスへの直接発注 | 小規模、機能追加や改修 | コストは最も下がるが、管理の負担は発注側に残る |
| 自社での人材採用 | 継続的な開発、長期運用が前提 | 立ち上げに時間がかかるが、ノウハウが社内に残る |
まずは小さな開発から試してみたい場合は、現地の開発会社へ依頼するのが現実的です。継続的にシステムを発展させていくなら、将来的に自社での採用も視野に入ります。日系企業がフィリピンの人材やサービスを活用する実例については、フィリピンBPO活用のケーススタディを参考にしてください。
関連: AIオフショア開発の進め方|フィリピンのチームがAIを使うとき発注側が決める5つのこと で詳しく解説しています。
3つの体制をどう選び、どう進めるか
体制を選んだら、次に具体的な進め方を決めます。この段階での判断が、完成後の満足度を大きく左右します。
決まったことは、その場で書面に残します。フィリピンでは、雑談の中の一言が「あのとき合意したはずだ」と扱われることがあります。打ち合わせで決めたことは、口頭で終わらせず、その場で書き残しましょう。そうすれば、この種の行き違いを防止できます。
設計と判断基準は自分で決め、実装は任せます。私自身、以前システム導入を丸投げして失敗した経験があります。条件があいまいなまま任せた結果、「動作するが現場では使えない」システムが完成しました。うまくいった案件では、画面の流れや判断基準といった設計部分だけを自分で決め、実装と運用は委託先に任せました。委託する範囲を明確に分けることが、システム化を成功させるうえで重要です。
週次の進捗を確認します。小規模な開発であっても、週に一度、何が終わり、何が遅れ、何に困っているかを共有する場を設けましょう。委託先に任せきりにせず、細部に介入しすぎることも避け、一定の頻度で状況を確認する仕組みを作ります。これが、現地で開発するときの基本です。
| 進め方のポイント | 具体的な作業 |
|---|---|
| 決めたことを書面に残す | 打ち合わせの内容をその場でメールやチャットに記録する |
| 任せる範囲を決める | 設計・判断基準は自社、実装・運用は委託先と分ける |
| 進捗確認の頻度を決める | 週次で進捗と遅延、課題を共有する |
フィリピンでのIT開発の失敗例
失敗例:安さだけで開発会社を選ぶ。相場より安い金額に惹かれて発注すると、初期の試作すら提出されないことがあります。安いのには理由があり、経験のある技術者が少なかったり、品質を確認する担当者がいなかったりするのです。
失敗例:価格だけでなく、やり取りのしやすさを確認しない。私自身、外注先を選ぶときはコミュニケーションの質を重視しています。安さだけで選び、修正のやり取りに時間がかかった結果、かえって割高になった経験があるからです。
失敗例:打ち合わせで決めた内容を、メモに残さない。フィリピンでは何気ない会話が実質的な合意とみなされることがあります。書面が残っていないと、あとで「言った・言わない」の水掛け論になりやすくなります。決めたことはその場で簡単な文章にして、双方で確認しておきましょう。
フィリピンでAIを業務に取り入れる全体の流れと、最初に始める3つのことは、記事「フィリピンでAIを仕事に使うには?中小企業・日系企業が最初に始める3つのこと」で説明しています。
関連: フィリピン外注の常識が変わる|AI再教育1万人発表と日系企業の対応 で詳しく解説しています。
よくある質問
Q: 日本語でのやり取りはできますか?
A: 開発会社やチームによります。日本語対応をうたう会社もありますが、技術的な正確さを優先するなら、英語の仕様書を基本にしたほうが、細かなニュアンスのずれを防げます。現地在住の日本人経営者のネットワークで評判を聞くのも、判断材料のひとつです。
Q: フィリピンで開発を依頼すると、費用はどの程度かかりますか?
A: 案件の内容や依頼先によって幅があります。同じ規模の開発でも見積もりに差が出やすいので、複数社から見積もりを取りましょう。金額だけでなく、コミュニケーションのしやすさも含めて比較することをおすすめします。
Q: 著作権や知的財産の扱いはどうなりますか?
A: 成果物の著作権を発注側に移す場合は、その旨を契約書に明記しておく必要があります。契約書の条文で確認する事項なので、依頼前に必ず目を通しておきましょう。
Q: セキュリティ面に問題はありませんか?
A: 開発会社やチームのセキュリティ体制は、事前に確認が必要です。データの取り扱いや、開発環境へのアクセス管理について、契約前に確認しておきましょう。開発したサイトを日本語と英語の両方でSEO対策する方法などは、フィリピン向け多言語SEOの記事もあわせてご覧ください。
まとめ
フィリピンで事業を展開している日系企業にとって、現地でのIT開発は情報が少なく、依頼先を判断しづらいテーマです。現地の開発会社への依頼、フリーランスへの直接発注、自社での採用という3つの選択肢から選びましょう。決定事項をその場で書面に残し、委託する範囲を最初に明確にし、週次で状況を確認する仕組みを作ります。この3点を押さえておけば、現地での開発がスムーズになります。まずは、小さな開発から試してみましょう。
参考・出典
- IT and Business Process Association of the Philippines(IBPAP、フィリピンのIT・BPM産業団体): https://www.ibpap.org/about-us
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